会社を解雇されたくない方へ
会社員の方が刑事事件で逮捕されると「解雇」されるリスクが発生します。職を解かれると収入がなくなり生活不安に陥ってしまうので、こういった不利益は避けなければなりません。
今回は刑事事件で解雇されやすいケースと解雇を避けるための対処方法を弁護士が解説します。
1.刑事事件になっても解雇されるとは限らない
一般に「逮捕されたら解雇されてもやむを得ない」と考えている方が多いのですが、法律上は必ずしもそうではありません。労働者は法律で守られており、解雇できるケースが限定されているからです。
被疑者や被告人になって会社に解雇される(解雇が認められる)のは、以下のような場合です。
○ 解雇されてもやむを得ない程度の重大な犯罪行為により有罪判決が確定した
刑事事件を理由に解雇するには基本的には「有罪判決が確定した」ことが必要です。「逮捕された」だけでは実際に罪を犯したかどうかも定かでないので、解雇されるとは限りません。 会社に重大な迷惑を与えるような犯罪であれば解雇されてしまいますが、軽微な私生活上の犯罪で会社に何らの迷惑もかけていないなら、解雇までは認められない可能性があります。○ 長期間無断欠勤をして連絡がとれない
おおむね2週間程度無断欠勤が続くと解雇される(解雇が認められる)可能性があります。 逮捕されても解雇されるとは限らないので、あきらめずに対応していきましょう。2.会社に刑事事件を知られるパターン
刑事事件の被疑者・被告人となっても、そもそも、そのことを会社に知られなければ解雇される心配はほとんどありません。
どういった場合に会社に事件を知られやすいのか、パターンをご紹介します。
2-1.マスコミ報道
世間をにぎわすようなショッキングな事件や大事件を起こすと、マスコミで実名報道される可能性があります。
また、事件は軽微でも公的な立場の人や大企業の社長、役員、従業員などが事件を起こすと報道されやすくなっています。
全国的に実名報道されたら会社にも知られるでしょう。
また、全国誌やメディアで取り上げられなくても、地元の新聞や地元メディアで取り上げられたら勤務先には知られてしまう可能性があります。
2-2.逮捕・勾留による長期間の欠勤
逮捕後引き続いて勾留されると、最長で23日間身柄拘束が続きます。その間は当然会社に出勤できません。
何の連絡も入れずに長期の無断欠勤状態が継続すると、それだけで解雇事由になることがあります。
また、会社が不審に感じて家族などに問合せをすると、家族が隠しきれずに逮捕の事実を告げてしまうケースがあります。
無断欠勤が続いたために会社側が心配して警察に問合せを行い、それがきっかけで逮捕が発覚する可能性もあります。
2-3.会社に直接連絡されるケース
従業員が痴漢などの被疑者になった場合でも、警察や検察が積極的に会社に知らせることは通常ありません。
ただし、本人が逮捕等を恐れて逃げてしまい連絡がとれなくなると、警察が勤務先に状況を尋ねる可能性が出てきます。
また、会社が事件に関与していると思われるケース、証拠品が会社にあるケースなどでは、警察や検察から連絡されるでしょう。
会社に逮捕や事件について知られても必ず解雇されるとは限りませんが、解雇のリスクが高まるとはいえます。
3.解雇を避けるための対処方法
刑事事件になったとき、解雇を避けるには以下のような対処方法が効果的です。
3-1.なるべく身柄拘束を避ける
逮捕されなければ会社に事件を知られることがないかも知れません。まずは逮捕や勾留などの身柄拘束を避けましょう。
逮捕前の段階であれば、早急に被害者との示談交渉を進めるべきです。示談できれば被害届を提出されることもなく、逮捕のリスクを少なくできます。
被害者のいない犯罪や示談が不可能なケースなどでは、自首や任意出頭をお勧めします。
被疑者が自ら出頭した場合、逃亡や証拠隠滅のおそれがないと判断されやすいので、比較的軽微な犯罪類型の場合は逮捕・勾留されにくくなります。痴漢や盗撮などのケースでは特に有効です。
3-2.勾留を防ぐ
逮捕されても「勾留」されなければ逮捕後3日以内に身柄が解放されます。3日程度であれば会社へも弁解できるでしょう。逮捕を避けがたいなら勾留を防いで在宅捜査を目指すべきです。
勾留されないためには、逮捕後すぐに家族から身元引受書をとりつけるなどして検察官に提出し、被疑者には逃亡のおそれも証拠隠滅のおそれもないことを説得的に示さねばなりません。
時間制限もあるので、早急に刑事弁護人を選任して対応を進めていきましょう。
3-3.えん罪であることを伝え、立証する
もしも無実の罪で逮捕されてしまったなら、会社に「えん罪」であることを伝えるべきです。
実際にはやっていないのに逮捕された可能性があるなら、会社側も簡単には解雇しないかも知れません。
ただし、結果的に有罪判決を受けてしまったら解雇の危険性が高まります。
無罪の証拠や根拠を集めて検察官に証拠不十分による不起訴を申し入れ、万一刑事裁判になったときには無罪立証を行って無罪判決を獲得するための活動を進めましょう。
3-4.会社への連絡は弁護士を通じて行う
逮捕された後、ご家族が対応するのは大変です。当初は何となくごまかせたとしても、逮捕勾留期間が長引くと本当のことを言わざるを得ないでしょう。すると会社から解雇されるリスクが高まります。
そんなときには対応を弁護士に任せましょう。
弁護士であれば「たとえ逮捕されても有罪判決が確定しないと解雇はできない」「有罪になったとしても解雇できるケースは法的に限られている」という法律の基本的な説明ができます。
また、「現時点ではまだ事件内容が確定していない。状況が確定したら連絡するので、待っていてほしい」などと申し入れることにより、会社による早急な処分を防ぐ対応もできるかも知れません。
会社員の方が解雇による不利益を防ぐには刑事弁護人によるサポートが有益です。山口で被疑者や被告人となって解雇が心配な方やご家族様は、今すぐにでもご相談ください。
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