刑事弁護とは、みなさんの家族が警察に逮捕・勾留・起訴された場合に、早期の身柄解放(釈放)を目指して、被害者との示談(和解)、身柄拘束に対する不服申立て、不起訴に向けた検察官との交渉、起訴後の保釈請求、執行猶予(実刑回避)、無罪獲得に向けた活動などを行うことをいいます。
はじめて逮捕・勾留・起訴された方は、これから自分がどうなってしまうのか、警察の取調べはどのようなものか、どのような刑事処分となるかなどについて、不安を感じています。不安の中で、やってもいない罪(無実の罪)を認めてしまい、冤罪となってしまうこともあります。
この点、弁護士は、立会人なく、逮捕・勾留・起訴された方と長時間にわたり話をすることができます。弁護士が早期に面会(=接見)に行き、逮捕・勾留・起訴された方のアドバイザーとして活動することが、その後の全ての手続きにおいて重要となってきます。
実際に罪を犯してしまっているのであれば、早期の身柄解放(釈放)のため、また、刑事処分をできる限り軽くするため、被害者の方と示談(和解)をすることが必要となります。
弁護士は、被害者の方と面会し、謝罪の意思を伝え、損害賠償金額を提示し、早期の示談(和解)に向けて、被害者の方と交渉します。被害者の方にとっても、弁護士が間に入ることで安心感が生まれ、示談(和解)が成立する可能性が高くなります。
逮捕・勾留は、一定の要件がなければすることができません。もちろん、無実の罪であれば、逮捕・勾留は許されません。そこで、逮捕・勾留などの身柄拘束をされた場合には、それに対して不服申立てし、裁判所に逮捕・勾留の要件があるか否かを判断してもらうことが考えられます。
捜査の結果、最終的に起訴するかどうか(裁判にするかどうか)は、検察官が決定します。そこで、弁護士は、前科の有無、犯罪の軽重、被害者との示談の有無、反省の状況、更生に向けた環境、証拠の有無・信用性などを材料として、不起訴に向けた検察官との交渉を行い、早期の身柄解放(釈放)を求めます。
検察官に起訴された場合、刑事裁判が行われることになりますが、裁判は短くても2か月程度、長ければ1年以上もかかることがあります。その間、無実の罪であればもちろんのこと、執行猶予(実刑回避)が相当な事案であっても、身柄拘束が続くことになってしまいます。
そこで、弁護士は、一定の保証金を裁判所に預けることによって身柄を解放(釈放)する制度である保釈を請求し、裁判が行われている間の身柄解放(釈放)を求めます。
罪を犯した場合であっても、前科の有無、犯罪の軽重、被害者との示談の有無、反省の状況、更生に向けた環境などによって、実刑(刑務所に送ること)を回避し、刑の執行を猶予する判決が下されることがあります。執行猶予となった場合、一定期間(多くは3年)新たに罪を犯さなければ、刑務所に行かなくてよくなります。
無実の罪で逮捕・勾留・起訴された場合であっても、裁判官や検察官は犯罪現場を直接見たわけではないので、事実とは異なり、有罪の方向に進んでしまうことがあります。弁護士は、有罪の証拠が不十分であることを主張して無罪獲得を目指し、冤罪を防ぎます。